耳鳴り、難聴について 当院の考え方

2018年08月12日

まずは丁寧な問診で経過と病態を把握すること

耳鳴り、難聴に対しての当院の考え方をお伝えします。

耳鳴り、難聴といっても、その方により病態、症状の程度、原因は様々なので、あくまでこういう傾向が多くみられ、当院ではどのように捉え、施術をしているのかを知っていただき、耳鳴り、難聴の症状で辛く、鍼灸を受けようか迷われている方の参考になれば幸いです。

耳鳴り、難聴で当院に来られる方は、耳鼻科を受診し、何かしらの治療(例えば薬、点滴、ステロイドなど)したけれど、症状が改善されなかったため、鍼灸を試したいと来院される方が多いです。

耳鳴り、難聴に問わず、頭痛、めまいなど、不定愁訴をいわれる症状で来院された際、まず第一に重篤な疾患が隠れていないかを考えます。

問診や身体のチェックで脳血管障害や循環器系の問題がないかを分かる範囲で確認し、鍼灸適応外と何かしら疑われる場合は、専門の病院への受診を促します。

患者さんの中には、主訴が耳鳴りで来られる方もいれば、耳鳴りと難聴の両方を伴う方、他には首の痛みなど別の主訴があって、時々耳鳴りが気になる方など、その方によって症状の程度、感じ方は様々違います。

耳鳴りを感じる方の中には、耳鼻科での診察や検査をしても器質的な異常がなく、ビタミン剤や薬で様子をみるといった形で経過観察されている方もいらっしゃるかもしれません。

原因が分からないまま、症状が続くと精神的にも余裕がなくなり、それが症状を強くさせる要因になっていると感じます。

症状よりも全体のバランスを整えることが大切

当院では、耳鳴り、難聴の方に限らず、どのような症状でも全体のバランスを整えることを大切にしています。

全体のバランスを整えるというと少し抽象的で分かりにくいですが、東洋医学的にいうと、陰陽のバランスを整えるということです。(この表現も分かりにくいですね…笑)

陰陽のバランスを整えるとは、気・血・津液(水)、五臓を整え、身体の表裏に波及、停滞した寒・熱を交流させることです。

鍼灸で手や足に鍼やお灸をして、頭ののぼせがひいたり、胸のつかえがおさまったり、足が温かくなるのは、陰陽が交流したためで、一言でいうと循環が良くなったということです。

人体を上・中・下3つに分けて考える時、下のイラストのように、胸から上を上焦、お腹周りを中焦、下腹部から下を下焦と分けます。

上焦・中焦・下焦での気・血・水(陰気と陽気)の巡りがよければ、寒・熱の停滞は生まれず、五臓(身体)をバランスよく養える状態だといえます。

耳鳴り、難聴に限らず、頭痛、鼻炎、結膜炎、肩こりなどは、上のイラストのように上焦の熱の停滞がみられます。

主に外的ストレス(外部環境)や内的ストレス(精神的ストレス)、飲食不節(食事の不摂生)から気の巡りが悪くなり、中焦で気滞(気の滞り)が生まれ、上下の交流がうまくいかず、上焦で熱が停滞します。

気が停滞すれば、そこに熱が生まれます。
例えば満員電車など人が密集したところだと、熱気が生まれますよね。
また、熱は上にのぼる性質があるため、上焦は熱が多くなり、停滞しやすいものなのです。
上下の交流が上手くいかないと、下焦で寒が停滞し、足のむくみや冷えに繋がります。
これを東洋医学では、上実下虚(上熱下寒)といい、上焦で余分な熱が停滞し、下焦が弱って冷えている、いわゆる冷えのぼせの時などがこの状態で、頭寒足熱の逆ですね。
更年期に現れることが多いですが、年齢的な衰えだけに限らず、ここに至る背景には生活環境の関わりが深いように思われます。

不調になった事から気付けること

現代では生活スタイルや仕事環境から、身体を動かすことに比べ、頭をよく使うことが多いので、意識の方向が身体へ向かうより、頭で考えることが圧倒的に多く、そのため、休息という判断を取るタイミングが遅い、または取れていない方も多いのではと感じています。

その結果、何かしらの不調が出てもおかしくはありません。

私自身の経験から言えることですが、不調になって気付くことは多いものです。

不調は自分を省みるきっかけを与えられたということで、そこからどう考え、どう行動するか、自分と向き合うことでみえてくるものもありますね。

とりあえずこの不調がなくなればいいのか、今後不調にならないようにしたいかは、その方の考え次第になりますが、不調は一つの問いかけを与えてくれているといえるかもしれませんね。

話が少しそれましたが、当院の施術としては鍼灸・整体を用いて、寒熱のバランスを整え、循環を促すことで症状緩和をはかります。

耳鳴り、難聴の方は、頭蓋骨や頸部の緊張を取ることも有効です。

臨床を通して感じるのは、耳鳴り、難聴は症状の経過とともに予後が難しくなるので、症状でお困りで鍼灸を受けようか迷われている方は、勇気を出して当院までご相談下さい。

今、呼吸・整体を学ぶ中で、呼吸や調整法(動き)によって、横隔膜が解放され、上腹部の力みが取れ、下腹部の力が生まれることを体感しています。

上腹部の力みを取り、下腹部が使えるようになるのは、上熱下寒の根本を改善させるには必要になる部分です。

また自分の身体に意識を向けるワークを行うと、頭がすーっと落ち着き、手足が温かくなります。

頭への意識から身体に意識がいき、自然と落ち着くことができます。

ワークはご自身で実践して身体を整えるものなので、実践したいと求められる方へはお伝えさせていただきますね。

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