2024年02月12日
うつ症状:症例報告
患者:60代 女性 Mさん(仮)
主訴:息苦しさ、不安感
来院:R5年09月05日
症状:R5年7月末頃から鼻の奥に何かへばりつき、喉が腫れぼったく息苦しく不安でたまらず、耳鼻咽喉科へ受診して逆流性食道炎、鼻の奥の炎症、自律神経失調症かもしれないと言われ、薬を処方された。
精神安定剤は飲みたくない気持ちはあるが、あまりにも辛いため仕方なく服用している。
死ぬってどんなことか不安になり、気分が急に落ち込んでく。
痰や鼻水が粘く出しにくく、嘔吐するように出す時がある。汗が多くなった、すごい汗をかく(特に頭、首から)。
食欲がなく、食べても美味しく感じない。
ご主人さんがよくサポートしてくれていて、自分のことで負担をかけているという思いもある。
【所見】
〈東洋医学的所見〉
脈診:寸口有力、左関上、尺中、浮、虚。
腹診:右の季肋部に張り、圧痛。みぞおち辺りつかえ。臍の上、左に圧痛。右の下腹部に張り、圧痛。
背部の中部胸椎~下部胸椎横に張りがある。
右下腿の外側の張りが強い。
【施術】
初診時、これまでのご自身の経過を丁寧に話してくださった。
お話する中ではうつ病の方にみられやすい無気力な感じは見受けられない。
自身の症状や健康に関わる情報をネットやYouTube動画などでたくさん調べている。
ご自身の思いや考えなど、すべて話が終わるまで聞いてから、当院ができることをお伝えして施術に入った。
施術をしている時から「気持ちいい。心がゆるむ。す~っとする。」と仰られ、この言葉からいい方向にいく希望を感じた。
症状に問わず、身体に起きた変化を小さなことでも「あっ、変わるんだ。」と実感されることがとても大切だと感じている。
【施術後】
身体が軽くすっきりした。リラックスできたご様子。
施術後ご本人は毎日でも来たいと仰られたが、施術後の反応、変化をみることも大切になるとお話して、始めは週2回のペースで施術していくと方針が決まった。
6回券の回数券を購入いただいた。
9月8日(2回目)
前回施術後、身体が軽くなった。
一日のうちに痰が鼻の奥、喉にからんで息苦しく不安になる。
ネットで症状を調べていて情報過多になり不安になっているのかもと自己分析されている。今後の希望を話してくれた。
9月13日(3回目)
痰がへばりつくのが減ってきた。
ご家族のことや悩みなどよくお話しされる。
9月18日(4回目)
耳鼻科を転院したが、同じように逆流性食道炎と言われた。
まだ精神的に波があり、不安感で落ち込むこともある。
喉の症状少しずつ和らいでいる。
次回から週に1回のペースでの施術に切り替えた。
9月25日(5回目)
ご主人さんが一緒にいないと不安になり涙が出る。外出するのが怖く、明日心療内科受診を予約している。
施術中、頭、顔から発汗がみられる。
簡単にできて落ち着ける呼吸法をお伝えした。
9月29日(6回目)
前回からの経過を10分くらいお話しされた。心療内科を受診した際に薬は変えず現状の服用の仕方でいいと言われた。
施術中、うとうと眠られた。
10月4日(7回目)
とにかくご自身が満足されるまで経過をお聞きしてから施術に入る。
お話し中涙ぐまれることもある。
症状に波があり、昨日は朝辛くてご主人さん仕事休んでもらった。
10月13日(8回目)
外出に不安があり、ここに来るのもがんばってなんとか来れている感じ。
施術後に毎回眠られようになった。今日も気持ちよかった。
10月20日(9回目)
少しずつ、食欲がでてきて昨日は外食ができた。
睡眠も前より眠れている。
不安になることもあるが、少し日常が戻ってきている。
一人で運転することが不安だったが、ここに来れると安心できる。
10月27日(10回目)
精神的に不安になることがある。食事嫌々だったり、美味しかったり。
予期不安で寝ていて汗をびっしょりとかく。
11月3日(11回目)
少しずつ食欲がでて、美味しく食べれている。
夜中決まった時間に汗びっしょりかく。
よくお話をされる方だが、毎回施術の中で何も考えず無になれるような、余白をつくる時間を入れている。
11月10日(12回目)
夜に汗をかく量がマシになってきた。
11月18日(13回目)
少しずつよくなってきている実感があると表情に明るさがみられた。
「いつも私の長い話を聞いてくれてありがとう。」と感謝の言葉をいただいた。
外食で行きつけのお好み焼き屋に行けて美味しく食べれた。(特にモツ玉がお勧めとのこと。)
夜の汗をかかなくなってきた。
体調の回復を実感されてきている。
心療内科の先生も理解があり、薬は増やさず経過をみている。
11月27日(14回目)
本当に少しずつよくなってきている感じとのこと。友人とも会えた。
今日は前回からの経過の話が短めだった。それだけ調子が上向きになっているのを感じる。
12月7日(15回目)
お孫さんところに久しぶりにおかずを作って持って行けた。
まだ一日に3回くらい少し不安になる。
表情がだいぶ明るくなり、前向きな言葉が出てきた。
12月18日(16回目)
不安も減って寝汗もかかなくなった。
喉の不快感も今は感じない。
心療内科、耳鼻科の薬の量も減っている。
食欲がでて美味しく、少し間食食べ過ぎかもとのこと。
近々友人と会うのが楽しみ。
12月28日(17回目)
調子よくなって不安薬を10日以上服用していない。
外出の不安もなく、友人とも大好きなお好み焼き屋さんで楽しく過ごせた。
年内にここまで体調が回復するとは思っていなかった、「いつもありがとうございます。」と感謝の言葉をいただいた。
1月11日(18回目)
調子がよく、症状が出た頃よりも体調のよさを感じる。胃腸が動き、ガスが出るようになった。
表情明るく声に力がある。
少し施術期間をあけて次回のご予約をいただいた。
1月24日(19回目)
しんどい体験だったがうつ症状に自分がなってみてよくわかり、今は体験できてよかったと思えている。
施術を受けての感想をお願いしたところ快く承諾いただいた。
もう少し施術間隔をあけてご予約いただいた。
2月5日(20回目)
一人でいるのが怖かった時期にご主人さんに仕事が辞めてくれていたが、症状が安定したのでご主人さんが再就職されたとのこと。
家族と友人家族と一緒に卓球で楽しんだ。
なんであんなに不安になっていたのか不思議なくらいで、今は症状に対する不安はない。
次回は3週間後来院予定。
【考察】
今回の症例でうつ症状の回復がみられた一番の要因はMさんがしんどい中でも辛抱強く当院を信じて来院してくださったことだったと考えられる。
その思いに応えるべく、Mさんの思いや話を遮らず、否定せず聞ききること、どんな言葉もまず受け止め、Mさんの思いをできる限り認識する姿勢で毎回の施術に臨んだ。
施術のポイントは腹部、背中の緊張を取り、熱の循環をうまくまわすことで、寝汗が減ってきた辺り(施術11回目)から顕著に好転がみらるようになった。
今回の症例からうつ症状に対して西洋医学による薬と東洋医学による鍼灸施術を併用することでうつ症状の安定、効果がみられた。
今後も引き続き、Mさんが日常を楽に豊かに過ごせるようサポートいたします。
お読みいただき、ありがとうございました。
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