症例5:顔面神経麻痺症状

2023年07月03日

顔面神経麻痺:症例報告

患者:40代 女性 Cさん(仮)

主訴:左顔面部の麻痺症状

来院:R5年05月08日

症状:来院4日前の朝に口元の麻痺からの症状で異変に気付く。

ご自身でネットでいろいろと調べたうえで耳鼻咽喉科を受診し、顔面神経麻痺と診断を受ける。

病院で処方された薬を服用しているが、発症した時と症状は変わらない。

食事の際に目と口が一緒に動くことや口を動かしづらいため食べにくい。

瞬きは自分で意識的にしているが、就寝時は目は閉じて眠れる。

1ヵ月前に左首から肩にかけて重さ、違和感があり、疲れてくると腫れが出てくる。だんだん耳鳴りがしてきた。

2週間で耳鳴りはおさまったが、左の瞼の下側の方の痙攣が1週間くらい続いた。

口元の症状がおこる前日に長い時間勉強をし、頭痛があった。

色々調べて、早い時期に治療をすることが大事とあったので、病院の薬と同時に鍼灸も受けようと思い当院を受診された。

【所見】

〈麻痺症状〉

  • 左目は完全に閉じないが閉眼はできる
  • 額のしわ寄せ左の方が少ししづらいができる
  • 左口元、頬にかけて腫れてつっぱる
  • 左耳の後ろに圧痛がある

〈東洋医学的所見〉

脈診:浮、弦、左寸口有力、左関上、尺中虚。

腹診:右の季肋部に張り、圧痛。胃の辺りに硬さ。左の下腹部に張り、圧痛。

背部の中部胸椎~下部胸椎横に張りがある。

首からお顔回りに熱感がある。

〈随伴症状〉

首肩の凝り(特に左)、口の渇き、背中の冷えを感じる。

【施術】

西洋医学だけでなく鍼灸を並行することで早い回復が見込めること、発症から4日目ということで、まだ症状に変化が起こること(施術後一時的に症状が強くなる可能性もある)をお伝えし、同意のうえで施術に入った。

鍼灸は初めてということもあり、鍼とお灸についての安全性や刺激量も考慮できることをお伝えし、不安なく施術を受けていただけるよう心掛けた。

施術は腹部の緊張を取り、上半身に停滞した熱をさばき、身体の回復力を高める目的で鍼灸施術を行った。

手、足に浅く単刺を行い腹部の圧痛の変化を共有し、麻痺している左顔面部へは浅く置鍼し、左耳の後ろの反応点にも置鍼を行った。

初めての鍼灸で緊張されたと思うが、お顔に鍼をした時の気持ちいいという言葉にいい方向にいくだろうと希望を感じた。

【施術後】

身体が温まって循環がよくなったのを実感された。

自分でもお灸をしてみたいということでお灸を購入され、積極的に身体を整えていきたい思いを感じた。

忙しい中でもお子さんとの時間を大事にされたり、仕事にも熱心に向き合われているCさん。

ただ、ご自分をいたわる時間がなく、睡眠時間もあまり取れていないのがお話の中で見受けられた。

今回症状が出たことで、2週間仕事は休んで療養することが決まっていたので週に1~2回のペースでやっていこうと方針が決まった。

5月11日(2回目)

今日の朝、左首から肩にかけて重さ、違和感があるが、前回「ここ帰る日は一番すごい楽でもう私絶対治ると思いながら帰った。」と話してくれた。

前回施術後、瞬きがだいぶできるようになった。

頬の腫れが強くなってきた。

気になって念のため総合病院の耳鼻科へ受診したところ、おそらく脳の問題(中枢性顔面神経麻痺)はないだろうということでMRI検査は行わなかった。

左首~肩にかけて辛くなる。

今回施術後、自宅でも簡単にできる呼吸法をお伝えした。

5月15日(3回目)

食事中、変なところに力が入るのか顎の下辺りが疲れる。

ステロイド薬、昨日終了した。

お灸も呼吸法も続けていて、呼吸法をするとすごく身体が緩んで落ち着いてよく眠れる。

5月19日(4回目)

左顔面(目の下、上唇辺り)の奥が痛かった。麻痺していた感覚が戻る反応かとネガティブには捉えていない。

昨日朝、意識を失いそうになるようなめまいが起こり、足をあげて寝ていたら落ち着いた。

病院でMRI検査を行ったところ、中枢神経や血管は大丈夫だった。

頬の腫れが和らいできた。食事の際の顎の疲れも大丈夫。

5月26日(5回目)

前回から1週間、日に日に回復している。

痛み止めを飲まなくても顔の痛みなくなった。

お顔の印象がクリアになったように感じた。(主観)

背中も緩んでいる。

来週から仕事復帰予定。

6月12日(6回目)

仕事に復帰してこなせている。

呼吸や身体のことを意識しながら「大丈夫かな?」と思うことがあるが、今までは無理していたところを家族に頼って休めるようになった。

お仕事のスキルアップに向けても勉強もできている。

薬も飲まず、症状はほぼほぼ回復したのを感じる。

【考察】

今回の症例は、顔面神経麻痺の症状発症から早期に病院での治療と並行して鍼灸施術を行えたことや一旦立ち止まって休むことを優先できたことで比較的早く症状の回復がみられた。

それでも、発症してから回復するまでの日々は相当な不安を感じられていたと思います。

仕事や家事をがんばってきた人にとって休むのは結構勇気がいることだと思うんです。

ただ、立ち止まって休むことで、これまでの自分を振り返えれたり、働き方や家族との関係を見直すことができたり、大事な時間だと感じています。

Cさんは今回の休んでいる期間の中で、サポートしてくれたご家族の存在を強く感じたようです。

どんな状況でも前向きに明るさを持って関わってくれるCさん。

職場の方もご紹介いただき、ありがとうございました。

当院では、日々がんばっていて辛い不調でお悩みの方に、施術を通して身体や気持ちが楽になっていただくことや安心感を感じてもらうこと、そして自分でもケアしたい方は呼吸レッスンを通してサポートしています。

辛い症状でお悩みの際はご相談ください。

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